堆肥は処分するものではなく、作物栽培にとって有用なもの。栽培農家に「欲しい」と思われる堆肥を作ることを目標としてきました。
前田牧場の堆肥の特徴
牛床の敷材に使用しているふわふわのバーク(スギの皮)とおが粉を一緒に発酵させています。
バークを混ぜることで、土壌改良効果が抜群です。
腐熟度が高いため、発芽率が99%と堆肥分析の結果が出ています。また、土壌分析の結果、数年で堆肥が必要なくなるということもわかりました。
自社の圃場に散布し確認しながら、より良質な堆肥を目指し製造してきました。
ニオイや虫の発生が少ないことを評価いただき、年間1万5000tを販売しています。
夢のペレット化
多くの人に使ってもらうために手散布でき、軽量化できるペレット化が夢でした。
ついに2020年末、(株)垣内の造粒機「造粒くんジュニア」を導入!
ペレット堆肥の作り方
材料は自社の牛糞100%の完熟堆肥
完熟とは?
微生物が食べるものがなくなってわらわらと動くのが止まり、発酵が完全に止まることです。臭いが減ります。
水分を飛ばせば(乾燥させる)微生物が眠り完熟状態になります。土に入ると水分と食べ物があるので蘇り、また動き出します。
- 堆肥を振るい機にかけて塊を除きます。
- 水分率をチェックし、造粒機に投入します。
- ペレット冷却冷却機「ひえた君」を通って出てきます。
試行錯誤の連続
○水分量を下げる
堆肥の「水分量」の壁
造粒するのに適正な水分量は30~35%、牛糞は35%まで下げるのが難しいのです。そもそも完熟堆肥でも44%あります。
専用の乾燥機はないので広げて乾かしているが、冬は乾きにくいし(乾くまで待つしかない)、夏は乾きすぎることもあります。(水分の多い元の堆肥と混ぜ、調整します。)
○堆肥に合わせて機械を調整
堆肥調製、機械調整の「人員」に壁
堆肥に合わせて機械の調整をしないとロスが出るので説明書通りにはいかず、研究する人間が必要になってきました。広域流通するには堆肥専門スタッフが重要だと気付きました。
○袋堆肥の品質管理
「品質」の壁
委託して販売となると品質を一定にしなければならないが、袋詰めし保管していたペレットが再発酵しパンパンに膨らんでしまいました。原因は冷却が不十分で、保管場所が暖かいことが原因です。牛のお腹の中の微生物は畑の中で元気になってもらわないと困ります。
牛糞ペレットは前例が少ないため自分たちで何とかするしかない!!
ペレット堆肥の特徴
- 粒状で軽いので普通の堆肥より散粒機や手でもまきやすいです。
- 容量が原料堆肥の約6割。少量ですみます。
- 乾燥し水分が少ないので、臭いが軽減。もともと少なかったがより安心です。
メッセージ
「牛糞は使ってこなかったけど、ペレットなら散粒機でまけるから使ってみたい」と新規でれんこん農家の方などからも注文がありました。より多くの方に使っていただくことが目標です。
牛糞堆肥は豚糞や鶏糞と違い土壌改良の性格が大きいので、ぜひ施用メリットを実感してほしいです。有機農業の方々にも使っていただけるように有機JAS使用可能資材の認証の証明も取得しました。
販売価格は普通の堆肥の2倍にしています。価格が妥当だと感じてもらえるような良質な堆肥を作り、流通を軌道に乗せていきたいです。